あるフランスのローエンフォースメントに所属する知人から連絡が入った。「特殊部隊のスナイパーチームのトレーニングをするのだが、おまえも来ないか!」二つ返事で南フランスのプロバンスまで飛んでいった(正確にはTGVだけど)。軍の施設を借りて3日間の実地訓練に参加した。民間人向けでない訓練なので詳細をこの場でお伝えできないのが残念だ。そんな誓約の中で使用した銃やちょっとしたトレーニングの雰囲気が伝えられればと思いながらこのページで紹介することにした。なんといっても、これらの銃はおそらく日本でも所持できるであろうから何かの参考になればとも思う。

 

Blaser R93 LSR2

 今回使用した銃。フランスではロングレンジ・ライフルで、後述するPGMの後継として採用されたモデルだ。スコープには珍しくNight Force NXSが使用されている。このスコープはアメリカのメーカーだが光学技術で世界に誇る日本製なのだ!レティクルはミル・ドット 。銃に話を戻すとこの銃の一番の特徴はストレート・プル・ボルトアクションというものでボルトを掴んで引くと若干の遊びがあるような感覚でレバーの部分が数度後方に回転しロックが外れる。そのままボルトを後退させることが出来る。通常のボルトを一旦上に上げてから引くモノに比べ、それほど慣れていなくともかなりスピーディに操作が可能だ。フル・アジャスタブルなストックは正確な狙撃をサポートする。ただ、それはじっくりと射撃位置が決められていればの話で今回の後半でのトレーニングではストックにつくバット・スパイクがじゃまに感じた。PGMのように折りたためると更に良かったのに。それと、一緒にトレーニングを受けた中には左利きの射手が数名いて、それほど気にはならないのだろうけど、グリップ下部のアシストが右利き用で右に出っ張っているのもこういった官給品となると選べないのだろうが、左右共有でない不便さを感じた。Blaserではもちろん左利き用のストックも用意している。それと、ピストルグリップではないのでポジションによる右手親指を置く位置に自由度があるのでそれはPGMよりも正確なトリガーコントロールを更に容易にしてくれた。

 

P.G.M ULTIMA RATIO

 フランス製のスナイパーライフルだ。PGMといえば昨年SATも導入したことで話題になったが、元々フランス軍のスナイパーライフルを開発するというのでFR-F1,F2などからシステムを継承している。 P.G.Mの製品は総て削りだしで出来たような、精密機械のようでその質感にぞくぞくさせられる。ボルトが後退するレール(写真右上)など物欲を醸し出すのに十分な魅力を放っている。ストックも無骨で簡素でありながら最大限の機能を持っている。また、特徴的なバレルはこのフィンとオイル・フィルムによる効率的な冷却を実現している。 今回は一丁のみが参加した。

 

Tikka T3

 ベレッタグループSAKOの傘下に入ったTikkaはフィンランドのメーカーだ。古い歴史のあるライフルメーカーだがここ数年で体制を変え世に出されたT3はハンターからも、標的射撃からも、そしてロー・エンフォースメントからも絶賛されるようになった。その工作技術の高さ、高品質な材質、そして何よりもその性能からすれば格段に安い価格。このライフルをミドルレンジ用として後述するステアー・マンリヒャーにかわって採用されたモデルだ。スコープにはスワロスキーが採用されている。

 

Steyr Manlicher SSG

Tikka T3が配備されるまでの中距離レンジでの主役SSG。1969年にオーストリア軍のスナイパーライフルとして採用されたのが SSG69。現在では4つのモデルが存在する。現在では400mを超える狙撃では若干性能が他のモデルより劣るため徐々に現役から退き始めている。

 

 

風速、高度、湿度などを測定する測定器。刻々と変わる状況をトレーナーから言い渡される度にスコープを調整する。初日は湿度が高く設定に苦労する。
人型に3つの風船を仕込み、このターゲットに対し3人で一斉射撃をして頭、胸、胴を3ショットする。
100〜500mを横一列で20名ほどで射撃するのはなかなか迫力だ。
トレーニング終了後、スナイパー章をいただいた。まあおみやげとしてで、私が持っていても何の効力はない。でもちょっとうれしい。

 トレーニング初日は100m〜500mを100m単位で、それぞれ時間制限無く3発を撃ち込む。その後、500mから初めて各距離から1発。位置につくまでランニング、配置について500、400mは15秒、300、200,100mは10秒以内の射撃。スコープを調整している暇がないので距離による違いをレティクルのみで調整する。走るために呼吸の乱れも制御するのでなかなか難しい。

 2日目は300m400mに無作為に置かれたターゲットを狙う。ターゲットには数種類の絵柄が貼られて射撃間際にトレーナーからどれを撃つかを言い渡される。射撃位置は車の上、車内、木の陰や小屋の中などからで、射撃開始の合図とともに指定されたターゲットを判別して撃つ。その後、3人一組になり写真のような風船を仕込んだターゲットを頭から順に3つの風船を当てていく。いくつもあるターゲットの中から3人が同一のターゲットをあわすのにチームワークが必要となる。これもスタート位置から山道をランニングしてからだ。各チームでタイムアタックをするのだ。そして、この日は夜間訓練。200mと400mを狙うのだ。暗視スコープなどは使わない。距離だけはわかっているのでスコープを調整し(もちろん真っ暗闇の中で)標的が車のライトにより1分ほど照らされ闇に浮かび上がる。この間に射撃をしなければいけないのだ。

 最終日は民間の射撃場に移動。ここでは300m〜500mに置かれたいろいろなターゲットを利用して、スタート地点だけは決められていて自分たちで適切なポジションを選び総てのターゲットを撃つ、あるいは指定されたターゲットだけを撃つなどを繰り返した。障害物がじゃましたりなど、ポジション選びで移動を余儀なくされたりしてタイムロスもある。スナイパーのIPSCといったところでなかなかおもしろかった。

といった具合な練習をした。晴天に恵まれ雨天での射撃が無かったのはちょっと残念だった。3日目は東向きなので朝のうちは逆光で悩まされた。結論!スナイパーライフルが欲しくなりました(^^;ライフルもそうだけど、スコープが高くて簡単にはいきませんな...今回の4丁のうち1丁いただけるとしたら... Blaserの特徴的なボルトシステムもおもしろいがそのメカメカしさからしてPGMも良い。購入するとなればコストパフォーマンスの高いTikkaも魅力だ。ということで新たな銃の楽しさを知ってしまったのだ!!