アームズマガジン2008/06号のIWA特集でも紹介したGP6。誌面の関係で掲載できなかった写真もあわせてここにアップした。さて、今年のIWAに行く際に最も気になっていた銃がこのGP6だ。警察官でもないのになぜかフレンチポリスシューティングチームLes7du10にいつの間にか正規でメンバーにされてしまった。Les7du10ではプロダクション・ディビジョンで出場しているためトレーニングは9mmを使う。だが私の手元には気がつくと9mmのピストルがないではないか!?9mmの弾は使い放題なのでちょっと9mmが使えるピストルが欲しい。IPSCではグロックが大半を占めている。価格の面もあるがマガジンキャパシティに魅力もある。大好きなH&Kはキャパシティが少ないのと万が一の時のパーツの供給が極端に悪い。そんなところにSTIがプロダクション用のモデルを出すと。ショットショーではデモ用の銃が間に合わなかったようだがここIWAでいよいよ本格的にお披露目となったわけだ。
 仕事をそっちのけで会場のプレスルームを飛び出すと一目散にSTIのブースへ。GP6は展示されており早速手に取った。話を聞くとSTIのスタッフも今回が初めて手にしたとのことでほとんど情報がない。あれこれ聞くと「これ作ってるGround Powerに直接聞いてくれ」と冷たく追い出された。

STIの名はあるがSTIがデザインや製造に関わっていない。関わっていないわけではないが既存の2011シリーズのようにSTI独自のアイデアが盛り込まれているわけではないのだ。スロバキアのグランドパワー社のモデルK100をSTIロゴを入れて販売しているのだ。それと少しはSTIらしくあるようにハンマーをSTIのスタンダードハンマーのデザインに似せたものがつく。ではなぜSTIがこの銃を選んだのか?やはりそこに秘密があるのだろう。STIが単純にシェアを広げるため適当に安い銃を仕入れてロゴだけを入れて販売するのか?実際STIは数百挺のバックオーダーを抱えるほど経済的には余裕がある。だからそんなブランドを傷つけるようなまねを自らするわけがない。
GP6はロータリーロッキングシステム。それにあわせて分厚く重量のあるバレル。そのためマズルジャンプを極力抑えて真後ろにリコイルがあるというのを実現しているという。そしてDAのトリガーの軽さ。シアーの切れ味。トリガーリリースの距離が極端に短く連射に向いている。IPSCには関係ないがコックアンドロックが可能な位置にセフティがある。グリップアングルなどは1911系になれた人でも違和感のない、また日本人のような小さな手でも十分に握りやすいスリムなグリップ。マガジンはCZ75と共通なのでなんと19発のマガジンキャパシティを得られる。といってもこのマガジンキャパシティは大きなアドバンテージにならなくなるかもしれない。というのも今年のIPSCワールドシュート後に新しいルールでプロダクションはショートコース以外はキャパシティに関係なく最低1回のマグチェンジが義務づけられるらしい。
ロータリーロック式ではアメリカで特許も取得している。分解もおもしろい手順だ。ワルサーのPPKのようにトリガーガードを引っぱり下げてスライドのロックを外す。ポリマー製の弾力を利用する仕組みだ。後はスライドを後方に引いて持ち上げてスライドを抜く。まるでバレルが固定式のピストルを分解するようだ。バレルはもロータリー式だからもちろん固定式ではない。そのぶんリコイルスプリングガイドが固定されているといったちょっと変わったデザインなのだ。
コックアンドロックが可能。IPSCのプロダクションはダブルアクションが義務。そしてハンマーダウンからダブルアクションで撃たなければいけないのだ。マガジンはCZのもの。このSTI GP6はアンビマグチェンジボタンがつく。これがおそらくSTIのデザインなのか、妙に精巧で全体のデザインばらすと合わず、さらにこの銃の精巧さのない、悪く言えば東欧の野暮ったいデザインとマッチしない。
時代に合わせてピカティニーレール付き。このバレル。これもエッジが立っていないので見た目の精巧さにかけるのでSTIらしくない。ただし実用的には十分で耐久もすばらしく10万発射撃しても全く問題ないという結果だ。
STIがこの銃を選んでそれにSTIのロゴを付けただけで製造はグランドパワー社で行う。それを公に公表するのにはしっかりとしたパートナーシップが築き上げられているといえよう。この上記の写真はグランドパワー社のブースで撮らしてもらったものだが、このGP6の契約を取るに当たってグランドパワー社の製造工程、生産管理、品質管理をSTIの製品として間違いがないようかなり厳しい条件や改革を受け入れたようだ。担当者の話というよりはその表情からはそれは相当厳しかったのだと読み取れた。しかしそれを行ったおかげでグランドパワー全体の製品の品質がさらに向上したわけでその選択は間違っていなかったと誇らしげだ。

STIのブースには1挺しかなかったGP6だがここのグランドパワーにはDAオンリーやサイトの違うモデルなど各種展示していた。私の手は日本の標準的サイズでガバのマガジンチェンジもグリップを握り治さないと届かない。この小柄なGP6とてそれは同じ。このマグリリースボタンも左右に動くのではなくロータリー式。その分押すのには力がいる。が、バリエーションでレバー式のモデルを発見。こうなるとGP6は私が銃に求める操作性、キャパシティなどすべてに合格点が与えられる。ブランド志向と怒られそうだがSTIの名を背負いながらもすべてのパーツに削りだしといったような精密機械感がないのが引っかかるのだ。まあそれがプロダクションあのかもしれないが、スイスのスフィンクスやイタリアのタンフォリオのプロダクションモデルはかなり精密機械的にできている。価格もGP6の倍はするが...

ということでGP6がフランスに入荷するのは2〜3ヶ月後。注文するか、グロックの中古を購入するか未だ決心がつかないと言ったところだ。

さて、ついでにSTIのブースで見つけた銃。これはスチールマスター。その名の通りアメリカ本国ではその存亡も危ういといわれるスチールマスター向けの銃。ここヨーロッパ市場ではIPSCのオープンディビジョン向けの銃と言うことになるだろう。グランドマスターに比べ短いスライドなどはすっかり私ごのみ。しかしちょっと前までスティンガーが合ったと思うのだが...スティンガーは実は失敗作で相当手を入れないと作動不良を起こしたらしい。それを改良したのがこれだ。スライドを軽量化するために入れたスリット。これがスティンガーから最も改良されて点だろう。そしてスチールチャレンジにはいらないファンネルなどはIPSC向けに持ち込んだのは明白だ。もうしばらくして目が悪くなってきたらドットサイトでピストルを撃つと決めているのでそれまではピストルはアイアンサイトでがんばります。
このロゴとかがイマイチかっこわるいのがSTI!?スライドのスリットは軽量化のためでコンペセイターの役割はない。コンペセイターも短いものがつくが十分な働きをするという。口径は9mm用だ。